スイーツの道を極めた辻口博啓さんの生き方

   お菓子の神様に魂を預けた世界的なパティシエ、辻口博啓さんの生き方についてのお話です。
 洋菓子のコンクールで3度世界一の座をつかんだ辻口博啓さん。辻口さんの生み出すスイーツは多くの人の心をとらえ、店はいずれも行列ができる人気店になっています。辻口さんはどんな志をもって、スイーツ作りに臨んでいるのでしょうか。そのことについて、辻口さんは次のように述べています。
 「自分の命を懸けられるものを見つけることだと思います。僕には、お菓子の神様に魂を捧げるくらいの熱い思いがあります。そういう信念や情熱をもてるかどうかですね。これがだめなら別のことをやろうとか、流行っているから自分もやろうとか言うのじゃなくて、自分の決めた仕事に対してどこまで突き詰めていけるか、最後まで自分が選んだフィールドで勝負していく決意があるかないかだと思うんです。
 あきらめずに突き詰めていけば、活躍できるフィールドがどんどん広がっていきます。自分の予想をはるかに超えて、世界が広がっていくのを実感しています。すると、そこで刺激を得て、また新しい挑戦ができるんです。」
 和菓子屋のボンボンだった辻口さんでしたが、店が大きな借金を抱え込んで、貧しさのどん底に落ち込んでしまいます。そこから、もがき苦しみながら、這い上がり、何もないところから自分のスイーツを作りだしていきました。そのことが、いろいろな意味で今の力になっているそうです。
                          「現代人の伝記 4」より