植物本来の力を引き出す 自然栽培 その1

    奇跡のリンゴで有名になった木村秋則さんの話です。
 「今、日本人の2人に1人が何らかのアレルギーを持っている」と厚生労働省は発表しました。また、日本人の死因の第1位は、昭和30年代までは心臓疾患でしたが、現在はガンがトップです。これには、いろいろな原因があると思うのですが、木村さんは食生活が一番大きく影響していると言っています。
 それは、あるデーターによると面積あたりの農薬使用量は、海外諸国を抜いて日本が1位だそうです。また、日本は、世界一の添加物使用国でもあります。木村さんは「ぜひとも今、食の安全について考え、食生活を見直してもらいたい。」と言われています。
 木村さんが、この話をすると「農薬を使わなくなったら、農作物がとれなくなって、日本中が餓死してしまうんじゃないか」と言われます。でも、実際には、農薬や肥料を長年使っていたせいで土が痩せ、病気が出たり、収穫量が減ったりする問題が、今農業の現場で起こってるそうです。
 「土」本来の力を引き出し、植物の力をうまく利用すれば、どんな植物でも十分な収穫量を上げることができると木村さんは言っています。
 たとえば、トマトを肥料なしで育てようと思ったら、まず大豆を植えます。大豆の根は、土の中の窒素分を増やすので、栄養たっぷりの土ができます。また、トマトの苗を寝かせて植えると、茎から丈夫な根がどんどん出て、十数メートルも横に伸びていきます。そして、1本のトマトの苗から無肥料、無農薬で、驚くほどのトマトが収穫できるそうです。
 植物が育ちやすい環境を整えること、それがすべてなのです。
 この話は、教育の中でも言えることではないでしょうか。植物を子どもに置き換えて考えてみると、教育のあるべき姿が見えてくるように思いました。
 さて、次回は木村さんが提唱している「自然農法」についてお話しします。
                                                                                                                                                        「みやざき中央新聞」より