奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんのお話です。
かつて日本には1000万人以上の農家がありました。しかし、今は260万人を切りました。また、耕作放置面積は、埼玉県と同じくらいの広さがあります。
今、日本の農地は、弱り切っています。いい作物を作ろうとして使ってきた農薬や化学肥料が、本来元気な土の力を弱らせ、その弱った土が元気な作物を作れないという悪循環になっています。
以前は木村さんが提唱した自然栽培は厳しい批判を受け、農家からはまったく相手にされませんでした。そこで、木村さんは、農家でない一般の人に家庭菜園づくりの指導を始めました。それは次第に実を結び、現在多くの方が自然栽培で家庭菜園を楽しんでおられるそうです。そして、ようやく全国各地で自然栽培を実践する農家の方が増え始めてきました。
昨年は、日本で初めて自然栽培の桃が実り、出荷されました。桃は無肥料・無農薬栽培が難しいと言われてきた作物です。不可能と言われてきたことでも、努力次第で可能になることを、この桃が実証してくれました。「できない」ではなく「どうしたらできるか」をみんなで考える。そういう時代です。
無肥料・無農薬で一生懸命に頑張っている農家を支えているのは、作物を買ってくれている消費者の皆さんです。お客さんがいるから、農家の人たちは頑張れるのです。
TPP交渉参加で、日本の農業は大きな打撃を受けるかもしれません。しかし、作る側と買う側が手を取り合って協力していけば、この大きな壁を乗り越えられる、いや乗り越えて行かなければなりませんと、木村さんは言っています。
今後、日本の農業が世界に誇れる農業に変わるために、自然栽培は必ず、大きな力を発揮してくれます。そして、食を通して、日本という国を世界にアピールしたいと木村さんは語っています。
「みやざき中央新聞」より