いのちいただく 感動実話 その1

 福岡県の助産婦・子育てアドバイザーの内田美智子先生の本「いのちをいただく」に書かれていることを紹介します。私は、内田美智子先生に何回かお会いし、講演にも来ていただきました。内田先生は、自分の体験を通して、命の大切さを教えてくれます。
 忘れられない次のようなお話があります。
 お母さんは、赤ちゃんが生まれてくるのを楽しみにしていました。ところが・・・死産だったのです。お母さんはお医者さんに「一晩だけ赤ちゃんをだっこさせてください」と頼みました。
 その夜、看護師がお母さんと赤ちゃんのいる部屋をのぞいてみると・・・。母乳を吸えなくなった赤ちゃんに、お母さんは乳を指につけて飲ましているのです。そして、やさしく赤ちゃんに語りかけています。生きたくても生きられなかった命があります。だからこそ命を大切にしてほしいと、内田先生は私たちの心に語りかけます。
 
 それでは、食肉加工センターではたらく坂本さんが出会った牛のみいちゃんと一人の女の子の感動の実話を何回かに分けてお伝えします。
 
 「いのちをいただく その1」
 
 坂本さんは、食肉加工センターに勤めています。
 牛を殺して、お肉にする仕事です。
 坂本さんは、この仕事がずっといやでした。
 牛を殺す人がいなければ、牛の肉はだれも食べれません。
 だから、大切な仕事だということは分かっています。
 でも、殺される牛と目が合うたびに仕事がいやになるのです。
 「いつかやめよう、いつかやめよう」と思いながら仕事をしていました。
                                                                                                                                            「いのちをいただく」の本より