物語の後半の部分ですが、要約してお伝えします。
坂本さんは、小さな女の子と子牛の「みいちゃん」に出会います。この子牛は、産まれたときから女の子と一緒に育ってきました。女の子は、子牛のみいちゃんを大事に大事にしてきました。でも、女の子の家は、この子牛のみいちゃんを売らないとお正月が越せません。女の子は「みいちゃん、ごめんねぇ」「みいちゃん、ごめんねぇ」と子牛に語りかけます。
この光景を見た坂本さんは、この子牛を殺せなくなりました。「明日は休もう」と思いました。そのことを自分の子どものしのぶ君に話しました。しのぶ君は「心のない人がしたら、牛が苦しむからお父さんがやるほうがいい」と言います。
翌日、坂本さんは、重い気持ちで会社に出かけます。牛舎をのぞくとあの子牛みいちゃんがいます。坂本さんは、みいちゃんに話しかけます。
「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんとみんな困るけん。動いたら急所外して、くるしむけん。じっとしとけよ。じっとしとけよ」と語りかけます。みちゃんは、じっとしています。そして、大きな目から涙がこぼれ落ちました。坂本さんは、初めて牛が涙をこぼすのを見ました。
次の日、女の子のおじいちゃんが、みいちゃんの肉を少し分けてもらいにきました。女の子はみいちゃんの肉を食べることができません。おじいちゃんは、女の子に言います。
「みいちゃんにありがとうと言うて、食べてやらな、みいちゃんがかわいそうだろう」と言いました。女の子は「みいちゃん、ありがとう。おいしかぁ、おいしかぁ」と言って泣きながら食べました。
私たちは、たくさんの命を、毎日いただいています。たくさんの命によって生かされていると思うと、食べ物を粗末にはできないと思いました。この話に出てくる坂本さんやしのぶ君、おじいちゃん、女の子のひとつひとつの言葉や思いから大切なものを学んだように思います。
「いのちをいただく」より